卵巣がん診断マーカー

 卵巣ガンは年間約1万3千人が罹患し約5千人が死亡しているというデータがあります。その卵巣ガンの中でも全体の約4分の1を占めるのが「卵巣明細胞ガン」で、このガンは若年層で増加していることに加え、欧米人よりも日本人に多いガンだそうです。
 残念なことに、抗がん剤の治療効果が低いため、ガンが広がる前に手術で取り除く必要があるにもかかわらず、既存のマーカーでは検出できない場合が多く早期に診断できる手法が求められていました。横浜市立大学と東ソーの研究チームは卵巣ガンの中でも「明細胞ガン」がTFPI2」というたんぱく質を多く作り出していることを発見し、このたんぱく質だけに付く抗体を作り血液で診断できるマーカーを開発しました。
 ガン細胞が作り出し、血液中に漏れ出した特定のたんぱく質を検出するしくみでこのマーカーを卵巣に腫瘍がある人を対象に使用したところ、明細胞ガンの人の陽性率は71%、既存のマーカーでは陽性率は62.3%の結果となり優れた診断結果を出すことができました。良性の腫瘍を見分ける能力も85.7%と極めて高い数値を出しています。
 卵巣ガン全体では、早期のステージ1で既存の診断マーカーだけでは陽性率56.2%でしたが、開発したマーカーを併用すると70.4%に上げることができました。
 このデータから研究チームは既存の診断マーカーに置き換わるのではなく、併用して検出率を上げるのが利点だと指摘した上で、手術をした後の治療や経過観察中の患者を対象に開発したマーカーの値がどのように変動するのか検証していくそうです。
 病気は早期発見と早期治療が大事です。このような情報を少しでも多くの方々にお伝えしていきたいと思います。
 自分自身の健康が家族の幸せへと繋がっていくことを忘れてはいけません。大好きな家族のために検診を受けましょう!!

保険事業部 赤井てるみ