お金の授業。

ある中学校で、臨時に開催されたお金に関する授業で、先生となった投資会社のプロが、「お金のイメージは?」と問うと、8割の生徒が「汚いもの」と答えたそうです。また、家族でお金についての話をする生徒も半分に満たなかったそうです。

「汚いもの」にしてしまった事も、もちろんですが、お金の仕組みを教えてこなかった社会の責任は大きいかもしれません・・・。

考えてみると、私もそうですが、子供の頃は、算数や数学の授業はやっていても、金利計算や株式、為替などという勉強は、ほとんど触れることなどありませんでした。

実際、先進国で日本ほどお金の勉強が遅れている国は無いようです。

だまっていても、預けたお金が元本を保証したうえに、どんどん増えていった時代は、もう来ません。日本人の多くは、いつの間にか、安全というぬるま湯につかってしまい、リスク社会に慣れない民族になってしまった気がします。しかし、これだけ物価が上がっていくと、じっとしている事が、どれだけ恐いリスクなのかをいや応なしに感じさせられるようになってきました。

つい最近まで「水」「空気」「平和」は無料。と言われていた日本も、今や、数多くのミネラルウォーターが店頭に並び、酸素バーなる店があり、警備会社の利用が身近になりました。つまり、全てにおいて「自助努力」が必要になってきたという事でしょう。お金も同じです。物価上昇を嘆き、増税反対を唱えているだけでは始まらないという現実を受け止め、正面から資産運用や家計の見直しを考える事が必要でしょう。

そして、学校でも家でも子供のうちから学ばせたいのは、「年老いた自分の生活を支えるのは、国でも家族でもなく自分だという事」「お金の事を真剣に考えるという事は自分の人生を真剣に考える事」だと私は考えます。

そして、我々大人は、自助努力が必要なこの大変な時代をどう生きるか、お金というものともう一度向き合い、実践で、手本を見せなければならないと思います。

 

長谷川 健