「80歳まで働く」という生き方

 

三十年後の日本は、65歳以上の人口の割合は全体の40%になると予測されています。「65歳以上が40%の世界」とは、一体どんな環境になっていくのでしょう・・・。

例えば、車を持たずに駅前などの中心地に生活の場を移す世帯が増えていって、シニア向けのアパートやマンションが立ち並び、それまで郊外に溢れていたスーパーやコンビニは需要が減り、シニア層中心の商品やサービスや店作りも加速していくでしょうし、電車やバスは優先席だらけになり、歩く歩道やシニアカー専用道路なども造られ、洋服屋さんも若者向きの店よりもお洒落なシニア向けの店が中心になるでしょう。

当然、働く人もシニアだらけになります。単純に考えて人口の40%が不労になったら完全な人手不足ですし、年金、医療、介護などの社会保障費の問題もあるので、国も税収獲得のためにもシニアの現役続行を後押しし、実際に、自分の特技や経験を生かして高齢になるまで仕事する人も当たり前になるでしょう。

とすれば、逆手にとって、「生涯現役」という考えを持つことは新たな幸せを生むのではないでしょうか。誤解されないように言っておきますが、気が進まない仕事を生活のためにストレスをためながらやるという話ではなく、高齢になっても、ワクワクした仕事ができる環境作りの話をしています。・・・中には「そんなことができるのはほんの一部の人だけで自分には無理」と言って蓋をする人もいますが、自分の価値に気づいていないか、自分磨きを楽しめていないのだと思います。

老後、預貯金や社会保障で趣味や旅行を楽しむシニアも素敵ですが、特技や経験を仕事やボランティアにして、ずっと社会に貢献し続ける、つまり社会から必要とされる存在で居続けることが楽しみに加わったら、より素晴らしい人生の締めくくりになるのではないでしょうか。そしてそれが、三十年後のシニアの姿かもしれません。

長谷川健