サーカスの象と鎖

 

今日はサーカスの象と鎖の話をします。
サーカスの象は鎖で杭に繋がれていても逃げようとしません。
象はかなり怪力です。個々の差はあるかもしれませんが、アフリカ象は500㎏もあるバッファローを軽々と持ち上げます。
だからサーカスでつないである鎖くらい簡単に引きちぎる力を持っています。それなのに、逃げようとしない。
なぜ?象さんは優しいから?・・・まあ、それもあるかもしれませんが・・・。サーカスの象は、まだ生まれたての小さい頃から鎖で杭につながれます。その鎖と杭はまだ小さい子供には十分に頑丈で、頑張っても頑張っても、切ることができません。疲れて、その日はあきらめて、来る日も来る日も、同じことを繰り返し、そしてある日、とうとう信じてしまいます。

鎖を切ることが「できない」と。
そして、幼いときに無力だと感じたその記憶がこびりついてしまいます。それは身体の感覚としても記憶されて、そして、この「できない」という信じ込んで疑わないことが、能力や行動を制限していきます。それは大きくなってからも続いていきます・・・。
信じ込むこと。心理学ではこれをビリーフ(信念・観念)といいます。それは能力や行動を許可することもあれば、制限することもあり、プラスにもマイナスにも働きます。そして、この話の重要なポイントは、二度とその記憶について、疑わなかったこと、真剣に考え直そうとしなかったことです。
二度と、本気で自分の力を試そうとはしなかったこと・・・。
象は自分で考える知脳を持っていないので仕方ありません。しかし、人間は何度でも考え直す知能をもっています。その優しさゆえ、繊細さゆえ、自らに制限を設けてしまったのなら、そして、もし、もう一度、見直す機会にめぐりあえたなら、それは有り難いご縁。ものの見方や考え方に対してもっと柔軟になれるのかもしれません。どうぞ、いつも心が豊かでありますように☆

 

長谷川 健