「お金の凍結」という現実。

 

日々、相続のご相談を受けていますが、問題になることが多いのが、相続が起きた時の「銀行口座の凍結」です。簡単に言いますと、「お金があっても使えない」という問題です。

相続が起きたことを銀行が知ると、その時点で亡くなった方の銀行口座からお金をおろすことが出来なくなります。・・・そんな話をしますと、こんなことを言う方がいます。「銀行に知られる前に家族が窓口に行って先におろしてしまえばいいんでしょ?」「ATMで50万円づつ何回かに分けておろせば大丈夫」「病状が悪化したら家族が代わりにおろしにいこう」など。

仮に、それがその時にうまく出来たとしても、おろしたのが口座名義のご本人ではないわけですので、後にその行為自体が様々な問題になるリスクを考えますと、私はとても無責任に推奨はできません。

口座の凍結は一時的なものではありません。

遺言書が無ければ、手続きに必要な書類を集めたうえで、誰がその銀行口座のお金を引き出すのかという点で相続権のある方全員の合意が得られるまで、ずっと凍結されたままになります。

もし、亡くなった方が前の奥様との間にお子様がいたり、相続人の中に行方不明者、未成年、認知症の人がいたりしますと、さらに長引きます。この間、お金をおろすことが不可能ですので、その方のお金で家族が暮らしている場合やまとった支払いがある場合など、生活に困ることにもなりかねません。

「終活」というとエンディングノートを書いたり、葬儀を事前に決めたりなど様々なことがありますが、一番の肝である「お金の終活」が出来ていないと何も進まないというのが現実です。

遺言書や生命保険を賢く使うことなど、意思表示ができる元気なうちに対策するのは、もはや人生における責任でなないでしょうか。

ピンときた責任感の強い方は、どうぞご相談ください!

 

長谷川 健