「敬上の心」

 

私は最近、「次世代への責任」を強く考えるようになりました。

私は、いわゆる「第2次ベビーブーム世代」で、右肩上がりの経済成長期の中、社会保障もどんどん充実し、モノも豊富に揃う恵まれた時代に育ちました。恥ずかしながら、今頃になってようやく、「先祖や先人の苦労があって今の自分達があるのだなあ」と心から感じるようになりました。少し前までの私は、80代後半になる祖父母を相手に、「それは昔の考え方。今はねぇ・・・」といった事を論じていました。

いつの間にか、私の心には「新しい=正しい」という意識が植えつけられていたのです。しかし、東日本大震災直後、身の回りにある「近代の飛び道具たち」はちっとも役に立たず、先人から伝わる「生きる知恵」や人と人との「支え合う心」が一番大切だという事を改めて認識させられました。

94歳まで現役で理容店を続けた加藤寿賀さんの本(「なぜ、はたらくのか」主婦の友社)があります。約一世紀前に生まれた方の言葉であるのに、現代に必要な言葉がたくさん詰まっており、私のバイブルの一つになりました。

日本は、原発、超高齢化社会、財政難などの問題に対し、次世代やその後の世代にツケを回さないような道筋をつけなくてはなりません。私も、国民として、そして、後世にとっての先人として、正しい「遺産」を遺したいものです。

 

代表取締役  長谷川 健